世界最高レベル20Gの加振性能!電中研様の共振振動台 環境振動対策にヤクモの制御技術が使われています。
電力中央研究所様の共振振動台の環境振動対策において制振装置SAMDの制御高度化に協力させていただきました。
ヤクモの持つ卓越した振動制御技術で、どんなシチュエーションでも、最適な制御系の設計・ご提案が可能です。
課題
一般財団法人電力中央研究所様では、バルブなど原子力重要機器の耐震安全性を確認するために、二重ばね別置き方式による基礎反力を利用することで振動の加速度を増幅させる共振振動台を開発し、世界最高レベルとなる20Gでの加振性能を実現しています(最大搭載重量は10t、テーブルサイズは2.0m×1.8mです)。
しかしながら、同設備は10t前後のマスが非常に大きな加速度で振動することになるため、周辺への振動影響が出ることが懸念されました。そこで、振動台の基礎に振動低減装置(SAMD=セミアクティブマスダンパー)を2基併設し、振動台と逆の位相の振動を発生させることで周辺への伝搬振動を抑制し、近隣の環境にも配慮しながら振動試験を実施しています。
このSAMDの制御、導入当初は、共振振動台へ入力する正弦波信号を分岐し,デジタル処理によって適切な位相ずれとゲインを手動調整することで行っていましたが、これでは試験体が変わる毎に微調整が必要となる可能性があり、SAMDの能力が十分に発揮できないことも懸念されました。
そこで、
- 試験体が変わっても制御パラメータを自動調整できること
- より一層の振動抑制パフォーマンスアップ
を目指して、ヤクモに制御高度化のご依頼をいただきました(1)。
対策
まず、実際に加振試験を実施して解析に必要となるデータを計測することころからスタートしました。次に、振動台施設をモデル化してシミュレーションを重ね、SAMDをどう制御するのが良いかを解析しました。
解析結果と実際の運用条件(正弦波加振であること、制御対象に非線形がある場合が想定されるetc)を基に、本件では適応デジタルフィルタを用いた自動制御を採用することにし、制御系の設計を実施しました。設計後もシミュレーションにおいて、振動台基礎上の振動加速度を充分低減できることを確認しました。
結果
制御系を実装後、共振振動台に5tのダミーマスを試験体として搭載し、加速度10 G、20 Gの加振を行ったところ、下記のように大変良好な結果で、敷地境界における振動レベル規制値(60dB)を超えずに振動試験が可能であることが確認できました。
敷地境界線上2ポイントの振動レベル測定結果です。適応デジタルフィルタを用いた新しい制御系は、従来制御(SAMD導入当初の手動制御手法)に比しても高い振動抑制効果があります。
更に10G加振時の敷地境界振動加速度のスペクトル分析結果では、加振周波数である9.6875Hzで大変大きな効果を得られいるのが分かります。
(1) 電中研-ヤクモ株式会社との共同研究「共振振動台におけるセミ・アクティブ・マス・ダンパ制御系の高度化検討」
(2) 西山、他、「適応デジタルフィルタを用いたSAMD による共振振動台の振動対策」,日本機械学会[No.16-15] Dynamics and Design Conference 2016 USB 論文集,pp.227-1-11,2016-08-23