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施工実績

建物4階に設置された振動篩(ふるい)機が原因の振動問題
空気ばね防振対策で作業環境を改善!

防振装置

 建物4Fに設置された振動篩(ふるい)の振動が建物を伝わってしまい、下階の部屋の作業環境が悪くなっていた事例です。ヤクモの空気バネ式防振装置で対策すると、振動はどの程度改善されるでしょうか?

 

 

課題


 振動篩(ふるい)は、一定の網目を有するふるい(スクリーン)に材料を入れて振動させることにより、材料の大きさ毎の分別するための装置で、材料を規定範囲内ごとに選別したり異物を除去し、製品品質の向上に役立ちます。その反面、非常に細かく高速で動くため、どうしても大きな振動を発生してしまう機械でもあります。

 鉄骨造の某リサイクル工場で、4階に振動ふるい機が設置され使用されていました。その下階の3階が作業場になっており、振動ふるい機が稼働すると3階の作業環境が悪くなるため、改善したいとのご相談を頂きました。振動篩(ふるい)は振動や低周波音の問題が起きやすい機械ですが、今回のケースでは特に、1階土間基礎上への設置ではなく、鉄骨造の4階床に設置されていたことが、大きな振動を発生させる要因の一つとなっていました。
まずは現状把握のために振動測定を実施しました。測定位置を図1、振動レベルの測定結果を図2及び表1に示します。定常的な振動が発生し、ふるいが設置されている4FではP-3が94dB、P-4が79dBでした。そして今回作業環境が問題となっていた3FのP-2では、振動レベルが約78dBでした。この78dBというのは作業環境としてどのような評価となるでしょうか?周波数分析したデータをISO-2631/2の曲線にプロットしたところ(図-3)、12.5Hz成分が環境係数8(作業場の基準)を超過しており、振動の改善が必要であると考えれられました。従って、対策した後の目標値は環境係数8を下回ること、としました。

 


図1.平面レイアウト及び測定点(左:4階、右3階)

 


図2.振動レベル時刻歴波形(振動ふるい機稼働時 対策前)

 

表1.測定結果(振動ふるい機稼働時 対策前)

 


図3.3F P-2の床振動加速度レベル周波数分析結果(振動ふるい機稼働時 対策前)

 

 

対策


 対策方法を検討するために、まずは測定結果を分析しました。
 各測定点の振動加速度を周波数分析すると、何れの位置でも12.5Hzが大きく出ていることが分かりました(図4)。次に、振動篩を停止し、各測定点近傍にて踵加振により計測した振動加速度をFFT分析し、床が揺れやすい周波数(固有振動数)を把握しました(表2)。これより、振動篩稼働時に大きく発生している12.5Hz成分に大きく寄与しているのはP-3:4Fのロングスパン梁部の固有振動数であり、ここで共振増幅した振動成分がそのまま3Fまで伝わっている状況であると考えられました。従って、発生源である4Fの床で12.5Hz成分の振動を低減することが効果的であると判断されました。

 


図4.各測定点の床振動加速度レベル周波数分析結果(振動ふるい機稼働時 対策前)

 

表2.測定結果(振動ふるい停止時 床面踵加振)

 

 現地の状況を考慮し下記3通りの対策案が候補に上がりました。

  1. 梁剛性強化

  2. 制振装置TMDによる床の制振

  3. 空気ばねによる防振

 1.の梁剛性強化に関しては、梁の剛性が上がることで揺れが小さくなると期待できます。しかしながら、剛性を高めるために梁せいを大きく上げる必要があり、後施工だと現実的で無いと判断されました。
 2.の制振装置による方法に関しては、機械の加振力が32,000N×2と非常に大きいため制振装置の振動体質量に数tonクラスが必要と、かなり大掛かりとなるため対策が困難であると考えられました。
 このため3.の空気ばねによる防振対策の検討を進めました。12.5Hzで十分な効果を得るため、防振系の固有振動数は約2.5Hzとして設計しました。実際に設置した空気ばね式防振装置の写真及び仕様を図5及び表3に示します。

 


図5.空気ばね防振装置 外観

 

表3.防振装置 基本仕様

 

 

結果


 防振装置を設置後、効果を確認するため振動レベルを測定しました(表4、図6~8)。
各測定点とも8~12dB低減しており、防振効果が得られていることが確認できました。
そして、問題となっていた3FのP-2を改めてISO-2631/2で評価すると環境係数8を下回っており、目標値をクリアする結果となりました(図9)。現地で体感した際も明確な効果が感じられ、本対策によって工場内の振動環境を大きく改善することが出来ました。

 

表4.測定結果(振動ふるい機稼働時 対策前後)

 


図6.1/3oct.周波数分析結果(P-2:3階 P-3梁下部)

 


図7.1/3oct.周波数分析結果(P-3:4階 機械近傍ロングスパン中央部)

 


図8.1/3oct.周波数分析結果(P-4:4階 機械近傍P-3対称点)

 


図9.3F P-2の床振動加速度レベル周波数分析結果(振動ふるい機稼働時 対策前後比較)

 

 

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