居室の静けさを守れ!YS工法による重量床衝撃音対策!
ヤクモの防振床「YS工法」は子供の飛び跳ねなどの床衝撃音を効果的に低減し、階下での静かで快適な生活環境を実現します。
鈴木 怜
本事例の課題
学校施設では保健室、音楽室、多目的室などの静かさを保つ必要がある室と体育館などの活発な活動が主体で前者ほど静かさを必要としない室が併設されているため、音環境については十分に注意する必要があります。
また、近年では学校施設を地域住民に開放して、コミュニティ拠点として使用しているケースも増え、互いの発生音により、学校の教育活動や他の公共施設等の活動に支障を及ぼす可能性があることから音環境対策の重要性は更に増しています。
この建物においても、(音を発生させる)体育館の下階に(静けさを要する)多目的室を配置した計画になっており、体育館の音が多目的室に伝わらないように、できるだけ高い床衝撃音遮断性能の対策をしたいと施主様からご相談がありました。
そこで、弊社で最も高い床衝撃音遮断性能の「湿式YS床※1」を提案し、施工した際の重量床衝撃音レベルの予測検討を行いました(図‐1)。
※1湿式YS床とは…YS床とは、床の上でも剛性の高い梁上にだけ弾性体(防振ゴム)を設置することで、通常の浮床よりも遮音性を高める浮床の工法です。湿式とは浮床をコンクリートで作成することにより、さらに遮音性を高める工法で、これらを組み合わせたのが湿式YS床です。
図-1 重量床衝撃音レベル(予測値)
予測検討の結果、未対策のスラブ素面※2では重量床衝撃音レベルがLH-50(小さく聞こえる)でした。
対策として以下のような湿式YS床で予測検討を行いました。
- コンクリート浮床は厚さ150㎜
- 防振ゴムはボールダンパーYB-401(設計固有振動数6.0Hz(固定荷重時))
この対策により、重量床衝撃音レベルがLH-30(通常ではまず聞こえない)まで低減されることが分かりました。この結果を受けて、湿式YS床での対策実施が決定しました。
※2スラブ素面とは…コンクリートスラブそのままの状態で仕上げをしていない状態。
表-1 表示尺度と住宅における生活実感との対応の例
重量床衝撃音対策のために(上階)体育館の床には図-2、図-3のような湿式YS床を施工しました。
図-2 湿式YS床 中央部断面詳細図
図-3 湿式YS床 端部断面詳細図
結果
床衝撃音遮断性能を確認するため、内装工事完了後に重量床衝撃音測定を行いました。測定は(上階)体育館をバングマシンで加振して、(下階)多目的室で重量床衝撃音レベルを測定しました(図-4)。
測定の結果、湿式YS床での重量床衝撃音レベルは「LH-30」という評価になり、上階からの重量床衝撃音が下階で大幅に低減されたことを確認しました(図-5)。
図-4 バングマシン加振の様子
図-5 重量床衝撃音レベル(実測値)