渡り廊下の不快な振動を低減!
制振装置
ロングスパンな渡り廊下は歩行時に揺れやすく、不快感や使用性が損なわれることがあります。制振装置TMDはそのような不快な揺れの対策に効果的です。桁梁内に設置するので、間柱を設けず開放的な空間を保つこともできます。
課題
渡り廊下や連絡ブリッジなどは設計活荷重が小さく、一般にスレンダーな構造となり、振動問題が発生しやすいです。歩行者の歩調と共振して揺れが大きくなり、不快感や使用性が損なわれるため対策が必要となることがあります。
某公共施設ではエントランスホールが吹き抜けとなっており、2階に渡り廊下が設置されています。約15mのロングスパンで、歩行時に中央部の振動が懸念されました。
図1.渡り廊下イメージ
対策
玄関前ということで間柱を設けることができないため、制振装置TMDでの対策をすることになりました。今回は、マス質量100kgのTMD2台を渡り廊下中央部の桁梁内に設置しました。
まず、廊下中央部でかかと加振を行い、固有振動数の確認をしました。8.67Hzが卓越しており、TMDの振動数をこれに合わせ調整しました。
図2.TMD設置状況
表1.TMD基本仕様
図3.渡り廊下をかかと加振した時の応答振動加速度測定結果
結果
TMD設置後、二人同調歩行を行い、制振効果を確認しました。非制振時には、1/3オクターブバンドの8Hz帯域にて、22.7[cm/s2]であった振動が、制振後には7.3[cm/s2]となっており、約1/3 (-10dB 程度) の振動に収っています。また、歩道橋設計指針の「立ち止った状態」で[少し感じる]未満となっており、通常の歩廊用途では問題ないレベルの振動状況にあることが確認できました。
図4.TMDによる効果 二人共振歩行時の測定結果
関連ページ